低体温症。
さかきです。
今日は未明から風雨模様、昼前からはさらに強さを増すといった具合で、稜線歩きは正直向いていない天候でした。
昨晩からのご宿泊の方も、半数以上は停滞され、一日小屋の中でゆっくり過ごされていました。
・・・といった空模様でしたので、停滞されたお客様向けに、今日の午前中は特別に国際山岳医の千島康稔先生に、低体温症の特別講義を開いて頂きました。これから気温が徐々に下がっていく時期とも重なり、公聴された方は皆さん熱心に聞き入っていらっしゃいました。以前にもこのブログにて何度かお伝えしてきていますが、秋や冬だけにそのリスクが高まるものではなく、夏山最盛期の時期でも起こりうる症状です。
色々な要素が絡むと(疲労・水分不足・栄養不足・雨や風等による濡れや冷え等々)、どんな健常者でもかかりえる症状にて、“明日は我が身”ではありませんが、十分な注意が必要です。
ちなみに今日この後夕方近く、低体温症による救助活動が一件ありました。
大天荘の直下、距離にして300m辺りの所での要請でしたが、かなり危険な状態でした。
小屋まで搬送し、今は徐々に会話もできる程度までに回復してきていますが、まだ何かをやるには介助が必要な状況です。26歳の男性の方です。
当時の天候は、風が平均10~15m/s、気温10℃程、かなり強い雨となっていました。昨夜は燕山荘にテント泊され、朝6時には出発されたようです。
ただ、今回気になったのは、着られていた衣類の点。我々が現場に赴いた時点で、雨具の持参はなく、ポンチョに下はジーパン、上はトレーナーといった綿素材、ポンチョは風に捲り上げられ、全身びしょ濡れ状態でした。
恐らく、昨晩のテント泊でも途中から浸水等でまともに寝られていない状態で、疲労と冷えが抜けきらない状態で出発したものと思われます。なお、テントとはいってもツェルトでした。
繰り返しになりますが、悪天候下の稜線歩き、安易な装備では、どんな健常者であっても体力に自信があっても遭難する可能性は十分にあります。
最近多く目にしますトレランの方は、特に注意が必要だと思います。
明日から4連休、登山ご予定の方多いかと思われますが、とにかく事故怪我なく、楽しい山登りとなりますことを、せつに願います。
(参考までに昨年のブログもご参照ください→)