2025年度「ライチョウ観察会」第1回目を催行しました
6月21日~22日、毎年恒例の燕山荘ツアー「ライチョウ観察会」を催行しました。
中房線の路肩崩落によってバス運行が現場を挟んでピストン輸送になっていましたが、参加者全員の方が8時30分に集合することができ9時に登山口を出発しました。第一ベンチから合戦小屋までベンチごとにその間に確認される花を中心に自然観察をしながらゆっくり登りました。説明を全員に聴いていただけるようにグループに分けて、伝言ゲーム手法で歩きました。
▲今年は北アルプス各地の傾向と同じで花の開花は遅れており、例年よりも少ない。それでも第一ベンチまではマイヅルソウ、ミヤマニガイチゴ、サワギキョウ、第二ベンチからはギンリョウソウ、アカモノ、ゴゼンタチバナ、イチヨウラン、キソチドリなどの常連が目を楽しませてくれました。イワカガミは濃いピンク、淡いピンク、白とピンクのミックス、アルビノなど多様な色変化を楽しむことができました。
野鳥は暑さのせいか声も少なく、時折聞こえるヒガラやウグイスの声もエゾハルゼミの大きな声に消される状態。本来なら、めまとい(アシマダラブユ)に悩まされる第3ベンチも、こちらも暑さのせいかこの日はほとんど現れず。合戦小屋手前ではバイカオウレンやミツバオウレンが迎えてくれました。
▲合戦小屋ではスイカやうどんで水分とエネルギー補給
▲燕山荘に到着後まず頂上を往復。コマクサは多くは蕾でしたが、開花したばかりのものも若干見ることができました。ライチョウは頂上までの間や北燕岳へ向かう道で砂浴びや姿が何カ所かで見られたという情報がありましたがタイミングが合わず見ることはできませんでした。燕岳頂上からの帰途燕山荘の手前50mほどの場所で餌を啄んでいるメスを確認することができました。抱卵しているなら啄みの回数と時間でわかりますが、この個体はいつまでも巣に戻ろうとしませんでした。そのため繁殖に失敗したかあるいはパートナーが見つからなかったメスと思われます。
夕食後は山荘内に展示してあるスタッフが撮影した写真を見ながらライチョウの生態や現状などについて、ライチョウを育む山の自然環境や生物のつながりや多様性の重要さについて解説。
2日目は早朝燕山荘周辺でオスのライチョウを探しましたが見つけられませんでしたが、前日と同じ場所で同じと思われるメスが観察されました。様々な花やこの季節ならではの萌黄色の燕岳を心置きなく楽しむことができた2日間でした。
ご参加いただいた皆様、講師の植松さんありがとうございました。
ガイド:赤沼敏治
講師: 野生生物資料情報室代表・信州野鳥の会会長でライチョウ調査研究に携わる植松晃岳氏
写真:赤沼
文:植松氏
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【今回観察できた詳細】
■野鳥
(17種)ライチョウ、ホシガラス、イワヒバリ、カヤクグリ、メボソムシクイ、エゾムシクイ、ウグイス、キクイタダキ、ルリビタキ、コルリ、クロジ、ウソ、ヒガラ、コガラ、コゲラsp、ホトトギス、ミソサザイ
■植物(花が咲いていた主なもの、場所は一部重複)
【登山口~燕山荘】
[草本]サワギキョウ、イチヨウラン、キソチドリ、ミツバオウレン、バイカオウレン、ギンリョウソウ、マイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、イワカガミ、ツマトリソウ、ヤマトユキザサ、ヒロバユキザサ、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、ベニバナイチゴ、ツルリンドウ(実)
[木本]ミヤマニガイチゴ、ベニバナイチゴ、タカネザクラ、ナナカマド、ウラジロナナカマド、タカネナナカマド、アカモノ、イワナシ(花・実)、コヨウラクツツジ、ウラジロヨウラク、オオバスノキ、クロマメノキ、クロウスゴ、ヤマツツジ、ムラサキヤシオ、オオカメノキ、ミヤマハンノキ、ツルツゲ
【燕山荘~燕岳】
[草本]コマクサ、シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマキンバイ、ヒメイチゲ、ハクサンイチゲ、ミヤマタネツケバナ、ヤマハタザオ、ウメハタザオ、コミヤマカタバミ
[木本]イワウメ、コケモモ、キバナシャクナゲ
■昆虫類
ヤマキマダラヒカゲ、クロヒカゲ、エゾハルゼミ、
■哺乳類
オコジョ、ネズミsp(死体)、キツネ(糞)
(植松晃岳氏)
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2025年度「ライチョウ観察会」第2回目は6月30日~7月1日に開催します。
