燕・歳時記 Special

燕山荘通信

紅葉の中を歩く「槍ヶ岳登頂表銀座縦走ツアー」


9月24日~27日燕山荘企画、燕山荘スタッフガイドによる「槍ヶ岳登頂表銀座縦走ツアー」を催行しました。3日間とも好天に恵まれ、また、紅葉の見ごろと重なり、とても楽しい稜線歩きを楽しむことが出来ました。

燕岳をバックに 燕山荘を出発前に

24日に燕山荘に集合し、翌25日に燕山荘を出発しました。この表銀座コースは目標となる槍ヶ岳を見ながら歩けるとても素晴らしいコースです。ここから見ても縦走路の紅葉は美しく、その中を歩けると思うとスタートからうれしくなってきます。

縦走の醍醐味のひとつにどんどんと変わっていく景色があります。燕岳も燕山荘から離れていくと違った形に見え、紅葉が上から下へと進んでいる様子が分かります。

稜線上のカラマツは風が強いため這うように育っています。そのカラマツも紅葉が美しくなっています。当日は風も強くなく、きれいな青空が広がり、秋山を満喫しながら歩くことが出来ました。稜線歩きは晴れていてもこの時期は寒くて大変なこともあります。

今回のツアー中、多くのライチョウに出会いました。少なくなってきたといわれるライチョウですが、少し安心しました。

大下りのナナカマドがとてもきれいです。燕山荘から見ても赤くなっているのが分かりましたが、実際に真近に見ると本当にきれいでした。

この周辺にはウラシマツツジやクロマメノキが多くあり、山肌の色を紅く染めています。とくにこのウラシマツツジの紅色はとても鮮やかです。

25日は午前中に燕山荘から大天荘まで歩き、午後は東天井岳まで行きました。この近くには石室が残っています。安曇野から槍ヶ岳へ至る最短コースは、かつて、ここを通り二の俣へ下り槍沢を登るというものでした。これはその当時の名残りです。

この時期、大天井岳周辺では「タカの渡り」が見られます。タカは冬を温かい南の方で過ごすためにこの近辺を飛んで乗鞍岳方面をめざします。上昇気流に乗って、ぐるぐると回りながら高度を上げていく様子が見られました。一日で10羽近く南下していくタカを見ることが出来ました。
ライチョウを見つけ皆さんと見ている時でした。タカが上空にくるとライチョウは急に落ち着かない様子になりました。のんびりエサをつついているように見えましたが、常に緊張感を持っているのですね。

日の入を大天井岳の頂上で見ようと皆さんと出かけました。ちょうど、その時です。
先程、歩いて来た縦走路の西から東へと雲が流れ、とてもきれいでした。
燕岳より200m高いほど大天井岳では日の入が10分近く遅いことに少々驚きました。

翌日も好天で始まりました。この日は長い工程になるので出発は日の出の5時40分です。

大天井ヒュッテを過ぎ、しばらくは槍ヶ岳が見えなくなってしまいますが、ビックリ平から少し進むと真近にせまる槍ヶ岳が姿を現します。これを見ると槍ヶ岳登頂への意欲も高まります。

今年は紅葉の見頃と重なり、東鎌尾根は美しい秋色となっていました。西岳からは先はハシゴやクサリ場が多くなります。

東鎌尾根は緊張する所も多いですが、場所を選べば、ゆっくり休憩できる場所もあります。槍ヶ岳の良く見えるところで昼食を取りました。とても贅沢な時間となりました。

13時過ぎにヒュッテ大槍へ到着です。ヒュッテ大槍は槍ヶ岳を眺めるには絶好の場所です。

ヒュッテ大槍からは気温も下がってきたこともあり、服を一枚多く着て出発です。この時期、晴れた日は  まだ暑いこともありますが行動をやめた途端、体が冷えてきます。休憩時は服を一枚羽織るといいでしょう。また、温度調整がしやすいので、服の重ね着がいいと思います。手袋やニット帽もあるといい時期になってきました。

高度感満点の梯子を登り切れば念願の槍ヶ岳へ登頂です。そこからははるか遠く、スタート地点である燕山荘を見ることが出来ました。皆さん、それを見て「よくここまで歩いてこれたな」と驚きと感動に浸っていらっしゃいました。自分の足で歩いたからこそ、自分にしかわからない大きな感動となったことしょう。ご参加頂いた皆様誠にありがとうございました。

ガイド:河地清人  榊 寛昭  佐藤 芯

〈ご利用いただいた燕山荘グループの山小屋〉

大天荘

大天荘食堂

ヒュッテ大槍

ヒュッテ大槍食堂

燕山荘
今回のツアーでは、燕山荘、大天荘、ヒュッテ大槍と燕山荘グループの山小屋をご利用いただきました。

【9/29の様子】

紅葉は少しずつ下へと降りていきます。ダケカンバの黄葉がとてもきれいです。

ツアーから2日後、燕山荘では朝の気温が-2℃以下となりました。冬がすぐ近くまで来ています。紅葉は稜線から下へと下がりだしてきましたが、まだしばらくは楽しめると思います。
初雪も近いかもしれません。山の秋は例でいえば、東京の冬よりも寒いのかもしれません。また日の入も17時30分頃となっています。早めの出発、早めの到着、防寒対策はしっかりとして紅葉の燕岳にお越しください。

写真・文:河地清人

〈合戦小屋の営業について〉
9月30日朝をもちまして、スイカの販売は終了しました。
9月30日より、お汁粉の販売を開始いたしました。

株式会社燕山荘 松本事務所

〒390-0874 長野県松本市大手2-3-10

0263-32-1535 0263-32-0898

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