蔵王樹氷原ツアー催行しました
2月20日~21日、22日~23日の2回に分けて、燕山荘スノーシューツアー「蔵王樹氷原ツアー」を催行致しました。


蔵王の樹氷原は、ここ数年12月下旬から3月上旬が見頃、とりわけ1月下旬から2月下旬が最も大きく成長する頃と言われています。
今回は、今冬の中で一番育まれた樹氷と、たった一日の気象条件で崩れてしまったその容姿の二パターンに遭遇することとなりました。


東北地方の中央部に位置する奥羽山脈、その南に位置する蔵王連峰。
特殊な気象条件と植生が造り出す“蔵王の樹氷”は、大自然の神秘と厳しさを一度に体感できる、まさに東北の郷土遺産と言っても過言ではないでしょう。
一つとして同じものはなく、刻々変化するその姿は雄大で繊細です。
それだけに、ちょっとした気象変化でもろくも崩れてしまうのもまた、自然の営みを肌身で実感できる貴重な瞬間です。
<かんじき>



このツアーでは、スノーシューではなく、昔から伝わる輪かんじきを着装して歩きます。
クロモジ(⇒爪楊枝などによく使われます)の木で作られる、全て手作りの道具です。
昨年参加された方も、さすがに一年経つと結び方履き方忘れるもの・・・地元インストラクターが丁寧に履き方を教授してくれます。
今主流であるアルミ製フレームのわかんよりもさらに軽くて丈夫、取り回ししやすいのが特徴です。
<樹氷原へは・・・>


乗り物好きな方にとっては興味深い、2種類の索道を使って蔵王山頂駅まで上がります。
特に山頂線は、自動循環式ゴンドラを採用。支柱通過時の静穏性や、耐風設計で揺れに強い特徴を持ち合わせています。冬の季節風をまともに受ける蔵王連峰にうってつけの機種ということになります。
ただ昨年同様、ここ数年のインバウンド需要の高まりで、乗車にこぎつけ山頂駅まで辿り着くのに、3時間以上かかる日も度々で、そのあたりが近々の課題でしょうか。
<1回目>









1回目は快晴無風という絶好の鑑賞日和となり、ロープウェイの山頂駅から地蔵岳の山頂まで樹氷の間をハイクアップ。月山や朝日連峰の遠望がよく効きました。
ここ近年では一番よく成長したと言われている昨年ほどではないにしても、紺碧の空に樹氷の白さがよく映える、とても素敵な光景を堪能していただけたのではないかと思います。
<2回目>








前日までの快晴はどこへやら・・・視界不良に加え風が非常に強く、未明からの気温上昇も重なり、8割以上の樹氷が一晩で見事に崩れ落ちていました。
蔵王の稜線は緩やかな起伏に富んでおり、視界が効かなくなってしまうと、遭難のリスクが極めて高くなります。過去においても樹氷の時期である冬場に、視界不良による道迷い遭難が繰り返し起こっています。
今回は地元のベテランインストラクターの的確な判断と案内で、生憎の天候とはなってしまいましたが、まさに“樹氷は生きている”を肌身で実感できた、貴重な時間が共有できたのではないかなと思います。



蔵王に多く自生する、樹氷の基となる「アオモリトドマツ」。
平成25年(2013)に発生したトウヒツヅリヒメハマキの食害と平成28年(2016)以降に衰弱した木がトドマツキクイムシの被害により、広範囲に枯死する深刻な状況になっているのが現状です。
現在、稚樹を増やして、少しずつ快復させようと、地元行政も加わってようやくその動きが出てきたようですが、そもそも樹氷として見ごたえのある木に成長するまでには、30~40年はかかるとの事。
難しいことはともかく、「樹氷を見る」ということだけでも、動植物の生態や気候の特色といった色々な自然の営みを知り得るという点で、“蔵王の樹氷は大切な自然資源”です。

1回目ご参加の皆様

2回目ご参加の皆様
「昨年も今年もお天気悪かったし寒かった・・・それが冬の蔵王ということをよく学びました。ということで来年もお天気悪くても楽しめそうです。参加します!」
「難しい話はわからないけれど、樹氷の繊細さを実感しました」
ご参加頂きました皆様、遠いところからありがとうございました。

今回も昨年同様、地元蔵王インストラクター協会所属の菅文広さん、荒生満晴さんにご案内頂き、滞在先である「ロッジ・アンティロープ」ご主人 山口勝美さんにも大変お世話になりました。ありがとうございました。
特別講師:菅文広氏、荒生満晴氏(蔵王山岳インストラクター協会・蔵王登山ガイド協会(JMGA)所属)
ガイド・写真・文:榊