2025年 燕岳ビギナー春山登山教室 点描
今年も４月下旬から５月中旬にかけて、燕山荘主催の春山登山教室を催行致しました。県道中房線のアクセスにご不便な中、多くの方にご参加頂きましてありがとうございました。
燕山荘ではここ数十年にわたり、大型連休をはさんでこの時期に、
①基本的なアイゼン・ピッケルの使い方
②雪上歩行の基礎
③いざという時のための滑落停止の動作手順
を、一人でも多くの方にお伝えする機会として、「ビギナー春山登山教室」を開催してきています。
年末年始の厳冬期と大きく違う点、3000m級の稜線上においては、４月５月残雪期のほうが雪が固くしまっており、滑落・転倒のリスクが高いことです。アイゼンとピッケルの使い方、加えて雪上歩行の習熟度により、滑落転倒のリスクの軽減が図られます。
残雪期の雪上で一番大切なのは、「転ばず、つまずかずに歩く」こと、これに尽きます。
加えて日々の寒暖差が大きく、晴天下の日中でしたら、半袖でも上下山出来てしまう日もあるかと思えば、－10℃以下まで冷え込む、まさに厳冬期並みの気温になる日も珍しくなく、防寒着類の選択や低体温症にならないためのケアなど、案外見過ごされがち要素が必要なのもこの時期の特徴です。
今年も大型連休中に多くの遭難事故があったようですが、決して他人事と捉えず、今一度ご自身の技量を再確認して頂きたいと思います。
ちなみに5/10の回では、合戦小屋から上部は強風に見舞われ、度々耐風姿勢を取らざるを得ない状況下での上山でした。季節の変わり目である４月５月、そして１０月にはこういう気象状況に遭遇することがあります。
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＜樹氷・雨氷＞
5/4と5/11の早朝は、樹氷や雨氷の美しい光景を目の当たりにすることが叶いました。ちなみに両日とも朝晩の冷え込みは０℃を少し下回る程度。殊、雨氷に関しては厳冬期ではなかなか目にすることができません。
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都度掲載しています風物詩、麓安曇野平の田んぼに今年も水が張られました。朝焼けに輝く水面、日中は合戦尾根の残雪と青々とした田んぼのコントラストがなんとも言えません。
珍しく、富士見ベンチと合戦小屋の中間にてカモシカを見かけました。
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▲第１回
▲第２回
▲第３回
▲第４回
▲第５回
▲第6回
「悪天候の中で参加できたのは、とても良い経験でした。ツアーでなければ、怖くて途中で諦めてました・・・」
「アイゼン付ければ雪の上では滑らないものだと思っていたけど、ちゃんとした足の運び方があることがわかっただけでも勉強になりました」
「滑らないように歩くのは難しいけど、これが滑落防止の基本になることがよく理解できまし」
「４月５月の山での衣類調整は難しいですね・・・」
「途中咲き出した花々に励まされ、燕山荘まで到着することが出来ました。」
ご参加頂きました皆様、遠方より足をお運び頂きありがとうございました。
担当ガイド：井村、榊、河地、赤沼敏治
写真と文：井村、榊、河地
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【ご注意】
燕山荘がオープンする4月から6月中旬までは、登山道に雪がありますので、冬靴、靴に合うアイゼン、ピッケル等の装備が必要です。この時期の登山にスニーカーは危険です。
また、燕山荘から槍ヶ岳への登山道は、7月中旬までは積雪があるため縦走は危険です。安全に登山していただくために、槍ヶ岳への縦走は、途中の山小屋、ヒュッテ西岳、ヒュッテ大槍の営業が始まってからにしてください。
【Caution】
From April to mid-June, when ENZANSO (燕山荘) is open, there is snow on the trail, so winter shoes, crampons that fit the shoes, and ice axes are necessary.Sneakers are dangerous for mountaineering during this period.
The trail from Mt. Tsubakurodake (燕岳) to Mt. Yarigatake (槍ヶ岳) is snow-covered until mid-July, making the traverse dangerous.
For your safety, please do not traverse to Yarigatake until the lodges, Hütte Nishidake and Hütte Oyari are open for business.
