燕・歳時記 Special

燕山荘通信

2015燕岳冬期登頂ツアー第1回目開催


12月20日~22日に第1回目の燕山荘企画「燕岳冬期登頂ツアー」を行ないました。
暖冬と言われる今年の冬ですが、例年よりは少ないものの雪は少しずつ増えてきていて、燕岳は冬の装いへとなっています。

【第1日目】

素晴らしい冬晴れの中の登山となりました。三角点まではアウタージャケットもいらない程でした。
冬山では汗をかかないで登る事が大切になるので、温度調節のしやすいように服を重ね着するといいです。また、休憩時にはついつい忘れがちな水分、そして、カロリーのある食べ物を摂る、体が冷えないうちに歩き出すことをお忘れなく。

しかし、森林限界のこの三角点で服を着ようと思っても、風が強い時は思うように着ることが出来ません。悪天時は合戦小屋、もしくはその下位で身支度を整え直して下さい。
冬山では森林限界の上と下では寒さが全く違います。場合によってはここから下山した方が安全なこともあります。こういった判断も冬山においては大切なことです。

この日は空気が澄んで、遠くの山々までくっきり見えました。また、何より青空がきれいで、この空の下を歩くのはとても気持ちが良かったです。

燕岳登頂

天気も雪の状態も良かったので、お昼過ぎには燕山荘に到着する事が出来ました。天気が悪く、ラッセルを強いられたりすると、一日で燕山荘まで辿り着けない事もあります。冬山は天気とトレースの有無によって、コースタイムは倍以上変わってきます。
翌日の天気予報が良くない事もあって、その日のうちに燕岳へ登頂しました。稜線では天気が良くても冷たい西風が吹くので、服をしっかり着込んで出発しました。

燕岳より北燕岳方面を見ると剣岳・立山がかっこよく見えます。
また、北燕岳より先は滑落の危険があるため、冬は通行出来ません。

【第2日目】

天気予報通り、2日目は雪になりました。ただ、気温は高めで湿った雪でした。中房より下では雨になったようです。そんな天気でしたので、テント場の斜面を利用して、アイゼンとわかんを一緒に履き、歩く練習をしたり、雪の性質の講義など行いました。

夜はワインで乾杯。山の話は尽きる事がなく、楽しいひとときとなりました。

【第3日目】

3日目の朝は前日の雪がしっかり積もり、山は白さを増していました。冬にしてはかなり珍しく、風も弱く、玄関席の温度計は-11℃と日の出を見るには良い条件でした。そして、朝陽が雪面をほんのりピンクに染めて、とても美しいモルゲンロードとなりました。冬にしか見られない光景です。

下山日も上山日と同じような冬晴れとなりました。今回のツアーはお天気に恵まれました。木々にはびっしりと霧氷が付き、「きれーい」という言葉を何度口にしたことでしょうか。こんな中を歩けるのは本当に気持ちがいいものです。冬山の“いいとこ取り”のツアーとなりました。

前日の降雪でトレースはすっかり消えていましたが、赤旗を目安に歩けばそれ程潜りません。トレースのない雪面に自分たちのトレースを付けるのもなかなか気分のいいものです。誰の足跡もないと思いきや、ウサギ、リス、雷鳥などの足跡をたくさん見つけました。動物達の方がひと足先にトレースをつけたようでした。

第3ベンチでわかんからアイゼンへ着け変えました。雪面の状況に応じて装備を変えていきます。
第1、第2ベンチ辺りは雪が少ないので、かえって歩きづらくなります。アイゼンをひっかけたりしないように注意して歩きました。

ツアーの最終日は冬至でした。冬はこれからが本番ですが、昼の長さが少しずつ長くなっていくと思えば少しは嬉しくなってきますね。ちなみに日の出はまだまだ遅くなり、1月7日頃が最も遅くなります。

天気にも恵まれ、燕岳にも登頂することが出来、楽しい時間を過ごすことが出来ました。今年の登山のいい締めくくりとなったことでしょう。ご参加頂いた皆様どうもありがとうございました。
次回のツアーは12月27日~29日です。

ガイド:井村克彦  河地清人
写 真:井村克彦  河地清人
文:河地清人

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